個人情報の利用目的の明確化とは
個人情報の利用目的を明確化するために施行された改正個人情報保護法
■個人情報の定義を明確化することが目的
現在、2016年(平成27年)9月に成立した「改正個人情報保護法」が、2017年(平成29年)5月30日より施行されています。
この改正個人情報保護法には個人情報の定義を明確化することが目的に含まれており、あわせて個人情報の適切な有用活用を明確化するための確保整備でもありました。
これまで個人情報の利用目的にはグレーゾーンなるものが存在し、不明瞭な点がいくつかあったことが要因です。
しかしこの法改正によってグレーゾーンが解消され、個人情報の利用が明確化し有用活用できるようになっています。
■改正で明確化された利用目的とは
個人情報取扱事業者が得る個人情報には、氏名や生年月日、メールアドレスなどのほか、免許証やマイナンバーカード、パスポートなどが挙げられます。
そのほかにもパソコンやスマートフォンでの顔認証や指紋認証、虹彩認証などはデータベースで変換した情報で管理しています。
しかし旧法では利用目的が曖昧になっている部分があり、特に身体的特徴などがその代表でした。
2017年(平成29年)施行の個人情報保護法では利用目的を明確化するために、このグレーゾーンを解消することが含まれています。
本来個人情報保護法には「5つの原則」が設けられており、利用目的の制限の明確化や適正な方法による個人情報の取得、個人情報の内容を正確に確保することが掲げられています。
また本人が必要とした場合の利用目的の透明性確保や安全保護の実施なども不可欠で、これらの5つの原則が個人情報の利用目的を明確化することにつながると言っても過言ではありません。
ところが、グレーゾーンが存在すると利用目的が明確化しない事例が起こり得ることが考えられます。
そこで3種類の個人情報を定義することになり、現在に至っています。
■明確化された3種類の個人情報とは
法改正によりはっきりと明確化された定義は個人情報と個人識別符号、それに要配慮個人情報の3つです。
個人情報と個人識別符号は前述の氏名や電話番号、身体的認証などが該当し、特定の個人を識別するために利用します。
グレーゾーンにあたっていたのが3つ目の要配慮個人情報で、これには人種や宗教、病歴に犯罪歴などが含まれます。
この情報は取り扱いが非常にデリケートであったことが、これまでグレーゾーンとして存在した理由です。
しかし差別や偏見を生じる可能性がある個人情報のため、改正個人情報保護法では「要配慮個人情報」を取得する際には本人の許可を得ることを義務化しています。
また特定の個人を識別できないようにするための有用性も確保し、個人情報を加工した「匿名加工情報」も利活用の目的として新設・明確化されています。